前頭連合野/46野のORIGINAL NOVEL

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※著作権は前頭連合野/46野の管理人、怪物の顔(鮭)にあります。





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―――――――――ビカーン!!ドーン!ゴロゴロゴロ・・・・。
――――――ザアアアァ―‐

「―――― ―今日は本当によく降りますねぇ雨が・・・雷まで落ちてくる」

喪服の男が一人、自室の窓を覗きながら独り言をいっている。

スマイルだ。この男も独り言・・・。

彼は暫く窓を覗いた後、奥の部屋へ入っていた。そして数分後、
有名ブランドの紙袋を抱えて戻ってくる。

「――― −マタパ(妹)、ユポ(兄)がいい物を買ってきたよ、似合うかなぁ?」

スマイルは紙袋を大事そうに抱え、そう誰かに話しかけた。

「・・・・・」

しかし、その話しかけた相手からは一切返事は返ってこない。当たり前に。
―――だって彼が話しかけた相手・・・・それは、“蝋人形”ですもの。

「―――マタパ(妹)は小さいから、合うサイズを見つけるのを苦労したよ」


それも・・・あの子、春日子にそっくり瓜二つの人形。

・・・・一体、如何してなんだろうか?何故ここに春日子の蝋人形が置いてある?
しかも寸分狂わぬほど本人と似ている・・・かなり精巧な出来だ。
本当に近くから見ないと人形だとは誰も気づかない。
その春日子蝋人形は綺麗な黄色いワンピースを着て、豪華なヨーロッパ製クラシックチェアーに腰掛けている。
眼はガラスかクリスタルか?ビー玉のように透明感がある。

「・・・・どう?白のワンピース、気に入った?」

スマイルは人形から今来ている服を脱がし、買ってきたブランド物の服・・・白のワンピースを着せる。
見事に人形と服のサイズはピッタリだった。

「―――うん、似合う」

スマイルはニッコリと笑う。いい笑顔だ、ちゃんと目も笑っている。
自分で選んで自分で着せて自分で納得する・・・。今の彼はそれで満足らしい。

「・・・・・今度は“本物”に着せてあげなきゃね」

人形の髪をやんわりと撫でながら、スマイルは呟いた。
「―――――――ボクは魔法使い、君の魔法使い・・・強くなった魔法使い。もう直ぐ迎えに行くからね、マタパ・・・」と。

――――――――ドンドン!

「―――?」

誰かが玄関の白いドアを叩く。

――――誰だ?


――――――ガチャ・・・

スマイルは何も考えずなんとなくドアを開けた。

「――――― ―ちょっといい?スマイルさん、第六資料保管所の鍵どこ?貴方が最後の利用者よねぇ?
ちゃんと鍵保管室に戻してくれる?じゃないと、仕事できないんですけどォ?」

―――女。女だ、女が玄関前に立っている。
黒のスーツに白のシャツ、そして黒のネクタイを締めた・・・男性用の喪服を着た女。
この組織の役員は男女関係なく、動きやすいからという理由で男性用喪服着となっている。

「・・・・マキシムさん」

―――――うるせぇーうぜぇー女がやってきた。
スマイルは女の顔を見るなり苦笑いする。

女の名はマキシム(maxim)。スマイルと同じ班の役員でしかも副班長。
十代後半で、おそらくスマイルと同い年だろう。彼女は四角い黒縁眼鏡を掛けている。
サラサラのストレートロングヘアーが特徴で、『子連れ狼』の大五朗を意識してか?前髪をゴムで括っている。
このマキシム、鼻に付く言動が多いことからスマイルとは心底気が合わないらしい。
しかも時々訳の分からない奇行を行うので、スマイルは笑顔でいながらも物凄く白い目で見ている。
顔も十人並みの普通なので、男の自分の方が結構可愛かったりする。
だからスマイルは「普通ブス」と勝手に彼女にニックネームつけていた。
「――――― ―なんでこんな能無し女が副班長なんだ、この普通ブス!」といった具合に日々心の中で陰口たたいている・・・・・。
実に腹黒い。


「・・・・・スイマセン、どうやらポケットの中に入れっぱなしにしていたみたいです」

スマイルはポケットに手を突っ込み、第六資料保管所の鍵を取り出す。

「ほんと、あんたって頭いいのにきちんとしていないのね」
「―――っ!はぁ・・・すみません」

―――――――――うっせぇー!ブース!普通ブス!!鍵ぐらいで文句言うな!

「―――?!あれ?」
「――はい?」
「―― ―ねぇ、それってアンタのダッチワイフ?ロリコン?アハハッ!」
「――――――っ!!」

マキシムは部屋に置かれている春日子蝋人形を目にし、指差してそう言った。
するとスマイルは、わなわなと急に怒り、
顔を歪めて「――――――――うっせぇー!!違うわっこのブス!!!!!!」と、かつて無いほどの大声で怒鳴った。
――― ―そして同時にマキシムに向かって持っていた鍵を、思いっきりブン投げた!!
しかし鍵はニアピンでマキシムを外し、彼女の後にある廊下の大きな窓ガラスに大ヒットした。

――――――――――――――バッキン!!!バリーン!!ガン!ガッシャン・・・・

・・・・鍵一つで廊下の窓一面が割れて粉々になった。
パラパラとマキシムの肩にガラスの細かい雪が積もる・・・。

「――――――――ハァ・・ハァ・・・ハァハァ」

息を切らすスマイル・・・・。目は血走って充血している。

「・・・・あはっ、あはははっ!!あはははははははっ!!バーカバーカ!!バーカ!バーカ!!」

・・・・・ショッキングな出来事に狂ったか?
マキシムはスマイルに向かって、笑ってバーカ!と連呼する。
・・・ピョンピョンとジャンプしながら、指差して。

―――――――奇行。

彼女がジャンプする度に、ガラスを踏んで、足の下はジャリジャリと音がする。
肩の上のガラスの破片も落ちてゆく。

「―――‐あはははははははっ!!バーカバーカ!!バーカ!メェェェェェェ」

バーカの最後に何故かメェェェェェェとヤギの鳴きまねした。
スマイルはそんな彼女を睨んでいた。

―――――幸い、ガラス割れによる怪我人はいなかったという。


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