前頭連合野/46野のORIGINAL NOVEL

※ 無断転載等、持ち帰り等はしないで下さい。
※著作権は前頭連合野/46野の管理人、怪物の顔(鮭)にあります。





top


「タランタ♪ランタン♪タララララ〜♪懐かしいなぁ〜」

黄色い菜の花咲く畦道をうかれながら水島が歩く。
その後ろを春日子と宇佐美がついて歩く。

「――――――――ホントにこの道抜けた所に孔蛾さんがいるんですかぁ〜?信じてもいいんですか?」

水島の御気楽な態度に春日子は、ついまた疑ってそう言ってしまう。
水島はムッとし、「オイオイ、信じるって言ったじゃん!また心が傷つくだろ!
俺今気分良かったんだぞ!懐かしの通学路を久しぶりにこうやって歩いてさっ!
あーあ、お子様なんて連れてくるんじゃなかった、こんなに疑われるんだったら!!
別にいいんだよ、俺に見切りつけて帰っても!」と拗ねる。

「そんな怒って拗ねなくっても・・・・ごめんなさい、ボクが悪かったです」

春日子は自分が悪かったと思い直し、素直に水島に謝る。
水島は「――‐宜しい、わかってくれれば」と言い、後ろを振り向いて春日子にニパッと笑う。
――――― ――‐その表情は今も昔も何一つ変わらない、彼だけの特権。

――――― ――‐ザワザァ―‐

緩やかな春風が近くの並木を揺らす・・・すると、ふんわりと土ぼこりが上がる。
水島はそっと目を瞑って、その空気をクンと嗅ぐ。

――――――――――――――――懐かしい風のざわめきと乾いた土の薫り。
何時もは全部忘れているはずなのに、それに出会うと何故だろう、不思議と全部思い出す。

―――――――――消したくない楽しい出来事も。
―――――――――消えて欲しい悲しい出来事も。
――――― ――‐全部、全部。


思い出す。


「・・・・・・水島さん」

ずっと黙っていた宇佐美が不意に話しかける。

「――‐何?」と水島が返すと「――――――‐どうして孔蛾さんは、塚原という人に償うのですか?」と聞く。

"何故、孔蛾は償うのか?"

宇佐美は春日子が聞きそびれたその質問を、恬然とした態度でぶつけた。
相手の反応なんて関係ない。ききたい事、気になる事は聞く。話さないのなら話すまで聞く。それが宇佐美純。

「――――――‐やっぱ、それ気になる?気になるよねー会話途中で無理やりやめちゃったもん・・・ごめんね。
自分から言い出したことなんだから、最後までちゃんと喋んなきゃね」

口ごもるか無視するかと思いきや、そうあっさり水島の返事が返ってくる。 声は冷静だ。
だけど、宇佐美と春日子は水島の後姿しか見えないので彼がどんな顔しているかまったくわからない・・・・・・・。
でも、きっと――――――‐複雑な顔に違いない。

「――――――‐勝手に話すから、勝手に聞いといて、このまま歩きながらさー」

水島が前を向いたままそう言うと、後ろの二人は黙って聞く準備に入る。

「―――― ―事件があったんだよ。二年前。直接そこに俺は居なかったんけど、これはマコりん本人から聞いた話なんだ。
塚っちゃんにマコりんが呼び出されたんだよ。大事な話があるって言われて――――」


――― ―――――――――‐事が起こったその日、その日は、何時もと同じ空をしていたんだけど・・・
空の下は何時もと同じじゃ無かった。





next
back



top


inserted by FC2 system