前頭連合野/46野のORIGINAL NOVEL

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※著作権は前頭連合野/46野の管理人、怪物の顔(鮭)にあります。





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孔蛾を捜しに店を飛び出した春日子は、商店街出口手前でドン!!と何かにぶっかって倒れてしまう。
自分自身の「――― ―いたぁー!!」という声と「――― ―ヴッ!」という低い声のうめき声が聞こえる。
――― ―痛みが治まって目を開けば「あっ!宇佐美くん」と言って春日子は驚く。
――― ―――― そう、春日子がぶつかった相手・・・それは朝のジョギング最中の宇佐美。


「――― ―いったぁ―!!あいたー!!すげぇ痛っ!!何今の!?」

宇佐美は起き上がり、痛い痛いと言いながら頭をさする。
実は彼・・・ぶつかった時、頭から直にコンクリート激突。これはかなり痛い・・・。

「―――!!ごっ、ごめんなさいっ!!」

悶える宇佐美の姿に春日子はペコペコと何度も頭を下げて謝る。
宇佐美は「あったー!!何ですかもぅっ・・・危ないじゃないですか!!
行き成り飛び出してきて!!僕頭ぶつけたんですよ!!怪我したんですよ!怪我!!」と顔真っ赤にして文句を言う。
「ほんと、ほんとごめんなさい!!」ともう一度謝罪する春日子に、
宇佐美は「もう本当気をつけてくださいよね!!」と一喝した。

「――― ―――それにしても、如何したんですか?急に飛び出すなんて、よっぽど何か慌てているんですか?」


何時もと違う春日子の様子に、宇佐美はそう尋ねる。
その言葉に春日子はハッとし「宇佐美くん!!宇佐美くん大変なんです!大変なんです!!」と喚く。
宇佐美は「―――えっ?何が大変なんです?」と顔しかめて言う。
春日子は「あっ、あっ、孔蛾さん、孔蛾さんが失踪しちゃったんです!!失踪!!!」と叫ぶ。
すると、「―――へぇ〜孔蛾さんが失踪・・・孔蛾さんが失踪ねぇ・・・・うん?
しっ・・・失踪!?えっ!ええっ!!え――― ――――っ!!!」という宇佐美の叫び声が朝日と一緒に昇った。

「――― ―――うっ、嘘でしょう!?」
「それが嘘じゃないんです!!本当なんです!!
孔蛾さん、テーブルに置手紙残してどっかに行っちゃったんです!!」
「だから、うっそーん!!だって、人をグーで力一杯殴る人ですよ!頭上に隕石落ちたかと思った!!
おかげで僕この前キラキラ星見たんですよ!七夕まだなのに彦星と織姫も見ましたよ!
思わず短冊にお願い事書くところでした!!あははっ!!ありえない、ありえない絶対ありえない!!
失踪だなんてそんなデリケートな人種とは到底思えません!あいつはただのバイオレンスノッポです!!」


春日子の話を聞いても宇佐美はマジ信じられないと、乾いた笑いをする。
おまけに「時期はずれのエイプリルフール?」とまで呟く。
春日子は苦笑しながら「―――本当に、 本当なんですってば・・・」と言った。

「・・・宇佐美くん、確かに孔蛾さんは荒くれ者です!
その上"カレーに肉が入っていないと食べない"と駄々を捏ねたり、人のおかず( 主に肉)取ったり、
風呂上り何食わぬ顔して全裸で廊下を歩いたり(鼻歌歌いながら)、履いた靴下を脱ぎっぱなしにしたり(悪臭が・・・)、
仕事サボってパチンコ行ったり(絶対負ける)、仕事サボってメイド喫茶行ったり(萌えのまま帰宅)、
仕事サボってローソン行ったり(からあげとお茶買ってくる)、駄目な人(やる気のない23歳社会人)ですが!!
それでも、孔蛾さんには孔蛾さんの長所が・・・長所が・・・長所が・・・長所があったり・・・なかったりですが!
ここは一つ、僕と一緒に宇佐美くんも孔蛾さん捜索を手伝ってはくれませんかっ!?人助けと思って!!」

自分一人では力が劣る、でも二人なら心強い。春日子は必死に宇佐美にそう頼み込む。
頼まれた宇佐美は「―――――――えーっ、孔蛾さん捜しに、折角の日曜を潰すなんてーありえないヤダ」と断るも"あっ、でもここは一つ貸しを作っておくか"と考え、「―――だけど、僕は溢れんばかりの善良な心を持っているから、やっぱり協力するよ」と言って前言撤回した。 さっきとコロッと態度が変わっている。 宇佐美よ、時代劇に出てくる悪代官みたいに悪賢い・・・・。しかし春日子はそんな宇佐美の裏事情なんて知るよしもなく「本当ですか!ありがとうございます!!」とお礼言って喜んでいる。

「それにしても、孔蛾さんが失踪だなんて、天変地位の前触れとかなんじゃ―――― ―」

半笑いで宇佐美がそんな冗談を言いかけた途端、
―――― ―ド―ンガッシャン!!!と後ろから、何か大変大きな音が耳を突き抜けた。



「―――!!?」
「――−何ですか今の!?」

―――――――本当に天変地位が来た!!?

二人は驚き、慌てて後ろを振り向く。

「!キャ―――!!?」
「―――なっ!!?」

―――――――すると、細い路上に一台のバイクが大胆にひっくり返っていた。
その傍らにはぐったりとした男性ドライバーの姿が・・・・。
それが目にとまった二人は、これは大変だと急いで男性ドライバーに駆け寄り「――大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」と何度も呼びかけながら肩を叩く。 しかし返事がない・・・体を揺すってもピクリとも反応すらなし。
完全に気を失っている。


―――――――これはまずい、もうだめだぁ・・・救急車呼ぼう。そう二人が思った瞬間、

「―――――――!!だあぁぁぁ!!俺は森の妖精じゃ――!!」と叫びなから急に男性ドライバーが飛び起きる。
春日子と宇佐美は「ぎゃあああっ!!ゾンビ!!」と悲鳴を上げ、腰を抜かした・・・。

「あ―――――っ!!やべぇ〜!!俺寝てた!!」

意識を取り戻した男性ドライバーは、カパッと被っている青いヘルメットを外す・・・・周囲に、
何処にでもいそうな平凡な顔がお披露目された。

「あれ?あんたら誰?」

男性ドライバーは、倒れたバイクを起こしながら白く固まっている二人にそう尋ねる。

「――――あんた等誰って・・・」

この時、二人は思った。
―――――――それはこっちが聞きたいよ"あんたこそ誰?"って、と・・・・・。

男性ドライバーは「あっ!もしかしてこの商店街の人!?」と更に二人に尋ねる。
春日子は戸惑いながらも「ええ、はい・・・そうです」と答え、宇佐美は「僕は違うけど・・・まぁ似たようなものです」と答えた。

「よかった!ラッキー!!この商店街の人なら聞きたいことがあるんだけど?」

急に、男性ドライバーが真剣な顔をして二人に迫る。春日子は苦笑して「・・・何ですか?」と尋ねる。
―――――道でも聞きたいのだろうか?たまに商店街で観光名所の場所を聞く客がいたりする。
しかし、男性ドライバーは「岡松精肉店ってどこ!?俺、そこに捜している人いるんですよ!!知っています?孔蛾実って人!!」と大声で予想外の事を言う。

「―――――!えっ!!あなたも孔蛾さんを捜しているんですかぁ!!?」
「うっそ!!」

男性ドライバーのこの発言に、二人は、これ一体はどうなっているんだと仰天する。
―――――こんな全然知らない人が、自分達と同じ孔蛾さん捜索の人だなんて・・・。

「―――――"あなたも"って、なっ―――!?てこと、はあんた等も捜してんの!?」

男性ドライバーは二人の反応に「なんてこったい!!」驚く。
そして「ちょっと!ちょっと!どうなっての!?本当はあんた等なんなの!?どういう関係!?」と混乱する。

春日子は「―――――ボクは孔蛾さんが働いている岡松精肉店の下宿生、春日子!こっち方は宇佐美くんといって孔蛾さんの知り合い!」と咄嗟に説明する。
宇佐美は春日子の説明に「知り合いといっても、僕と孔蛾さんの関係は単なる仲の悪い客と店員です」と補足を付け足す。

「あなたこそ、孔蛾さんとはどういう関係ですか!?」

今度はこっちの番だと春日子は男性ドライバーに質問する。

「―――――俺は水島 喜一!マコりんのダチ(友達)さっ!!」

男性ドライバーはよくぞ聞いてくれたといった感じで、かっこいいポーズ決めて答えた。
彼は水島 喜一 ――――――そう、この男性ドライバーこそ中学時代孔蛾を散々苦労させた、
あの究極問題児"水島喜一"その人である。
彼は中学時代に比べて、頭の中身は変わらないが・・・まぁ、図体だけはそれなりにでかくなった。

驚く春日子は「―――――!えっ!あなた孔蛾さんの友達なんですか!?」と言って驚く。
一方宇佐美は「――――ギャハッ!マコりんって何?それ孔蛾さんのあだ名?」と失笑。

「ボク、知りませんでした・・・・孔蛾さんに友達がいたなんて!」
「てか、あの人(孔蛾)にもいたんですね友達!」
「ボクは、孔蛾さんは人に群がらない一匹狼タイプだと思っていました」
「僕は、孔蛾さんは性格に欠点が有りすぎて人と仲良くなれない駄目な人と思っていました」
「・・・・・それ、きついけど当たっているかもしれません」
「でょ?あはははっ!!」
「でしょうね、あはははっ!」
「あーっはははっ!!」
「あははっ!」

本人が居ない事をいい事に春日子と宇佐美は言いたい放題。

「―――――おいちょっと!笑って盛り上がっているところ悪いんだけど、あんた等もマコりんを捜しているって言う事は・・・・もう肉屋(岡松精肉店)にはいないって事だろ?」

突如水島が口を挟む。

「はい・・・今日起きたら家のどこも孔蛾さんの姿はなく、代わりに置手紙が一枚・・・」

さっきまで笑っていた春日子が重い口調で答えた。

「その置手紙には何か書いてあった?失踪の理由とか!」
「いえ・・・特に・・・"お世話になりました"とか"有難う"とか"さようなら"とかしか書いてなかったです・・・」
「そうか・・・今日何日?」
「えっ?今日は九日ですよ、四月の九日」
「・・・・・やっぱり、マコりん三回忌だから参りに帰ったのか・・・
あーっ!一足遅かった!!すれ違いじゃん!!こんなんだったら直接待っとけば良かった!」
「!!あなた、わかるんですか孔蛾さんの居場所!?」


春日子は水島のその知ったような口ぶりに食いつく。

「ああ、見当はついている!あんた等も捜しているんだから一緒付いて来い!!」と水島が言うと、春日子は
「――――はいっ!!」と勢い良く返事する。

「――――兎に角詳しいことは後でゆっくり話そう!よし、ちっちゃい女子(おなご)は俺の後ろに乗れ!!」

水島はそう言うと、予備のヘルメットをカパッと春日子の頭に被せる。
春日子は「えっ?」と声を漏らす。
しかしその間に、ヒョイと体を持ち上げられバイクの後部座席に座らせられる。あっという間だ。

「オイ!!僕はどうなるんだよ!?」

バイクは二人しか乗れない・・・・宇佐美が余っちゃった。

「――――ジャニーズ顔男(おのこ)は、コレね!」
「!!なっ・・・」

水島は、穿いている黒の革パンツのポケットからジャラジャラと大量の小銭を取り出し、それを無理やり宇佐美の手に握らせる。
「・・・・なんですか?この溢れんばかりの小銭は・・・」とあきれた顔で宇佐美が言うと、
水島は「これ電車賃!多分これで何とか足りるから、ここの一番近い駅から乗って異空町(いそらちょう)って所で降りて!
着いたらそこで待っていろよ!こっちが着いたらそっちの駅まで迎えに行くから!ちなみに、
わかんないことあったら駅員に聞きまくれば良いから!!じゃ!」と早口で喋り、
でかいエンジン音鳴らしてさっさと春日子と一緒に来た道を走る。
残された宇佐美は「オイ!」と呼び止めるも無視・・・だからせめて、 一人むなしく叫んだ「―――――――オイ、オイ!貴様ら俺が坊ちゃんってわかってないのかよ!僕は・・・僕は、僕は今まで電車に乗ったことが一度もないぃっ!!!」と・・・・。

宇佐美純17歳、彼は由緒正しいお坊ちゃま。出かけるときは運転手つき自家用車。
甘やかされて育ちまくったので電車もバスも乗ったことがない。ついでに自転車乗れない、一輪車も扱げない。
そんな生活だけど、何一つ不自由していないので多分一生このまま。

「―――――――それに、ここの一番近い駅って何処さ!!」

がんばれ宇佐美!!




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